「ねえねえ、松前くん」
ぐっと松前くんに近づいて、二人でしか話せないような空間を作った。
「ん?」
「あのさ……彼女いる?」
いませんように…!
「え、突然何?」
驚いた顔をして、眉を顰める松前くん。
その声にこたくんが反応して、こちらの方へ少し振り返った。
…やばい、バレる!
「いいから答えて」
さらに近づいて、小さな声で急かした。
側から見たら、ありえないくらい近いと思う。
でもこれも円のため。
「いないけど…」
「良かった。じゃあ好きな人は?」
「今は…いないかな」
戸惑った顔をしながらも、きちんと答えくれた松前くん。
「そっか。うん、ありがとう!」
良かった!委員会が終わったら、すぐ円に連絡しよう。
「戸田は?好きな人いるの?」
「へ?!私!?」
まさかの質問に思わず大きな声が出る。



