「理性とかなんもあてにならないんだけど」
埜夜くんだって意識すると、心臓がうるさくなって顔も熱くなる。
「……ってかさ、ゆずも熱くない? 顔も……なんでこんな真っ赤なの」
「っ……ぅ」
「ゆずは風邪ひいてないのに」
「き、聞かなくてもわかってるくせに」
「俺に触られて赤くなった?」
「なぅ……い、言わないで……」
ほら、ぜんぶわかってる。
なのにわざと聞いてくるのがずるいの。
「あーあ、ほんと可愛い……」
「埜夜くんのイジワル」
「俺に襲われたくなかったら、さっさと離れること」
パッとわたしから距離を取って、背を向けて寝ようとしてる。
風邪が移るといけないからって、そそくさと部屋を追い出されてしまった。
「ほんと簡単に俺の理性ぶち壊してくる……」

