こんなに真剣に想いを伝えてくれて、わたしのためにわざわざ日本に帰ってきてくれて……還琉くんの想いが、痛いほど胸に響いてくる。


「だけど、柚禾の気持ちも大切にしたい。少しずつでいいから、僕を意識してくれたらうれしい。僕が柚禾を幸せにしたいと思う気持ちは変わらないから」


「…………」


「柚禾の気持ちがはっきりしたら――柚禾のおじいさんにも婚約の話をしたいと思ってる」


家柄のことを考えれば、還琉くんのような人と結婚するのをおじいちゃんは望んでいるかもしれない。


まだこの話がどうなるかなんてわからないのに。


なんだか少しだけ、胸が苦しくなった。


だって、わたしは……好きな人がいても、その人と結ばれないかもしれない――なんて。

自分の気持ちだけで、どうにかなる問題じゃない。


ここでふと、埜夜くんのことを思い浮かべてしまうのはきっと――。


「柚禾?」

「……あっ、えっと……少し時間が欲しい……かな」


「そうだよね。急すぎてごめん。柚禾に会えたのがうれしくてさ」


還琉くんの想いも無碍にはできない。


いろんな気持ちが複雑に絡み合って、すぐにはっきりした答えが出せなかった。