「わっ……」
バランスを崩して、身体がドサッとベッドに倒れ込んだ。
おまけに巻き込まれた男の子が、わたしの真上に覆いかぶさってる状態。
「え、えっと、ごめんなさ――」
すぐ身体を起こそうとしたけど、なぜか男の子が上からどいてくれない。
むしろ、さっきよりもっと距離が近い気がする。
「こんな無防備に男誘うようなことしてさ」
息がかかるくらい近くて、ちょっと動いたら唇同士があたりそう。
「これが俺以外の男だったらって……想像しただけで気狂いそう」
突然のことにびっくりで、目をぱちくり。
それに、わたしのこと〝ゆず〟って呼んだ? 今日はじめて会ったはずなのに。
「……これからは他の男なんか近づける隙も与えない」
ボソッとつぶやかれた言葉は、わたしの耳には届かず。
男の子が優しくベッドから身体を起こしてくれた。
軽く乱れた執事服を直しながら。
「自己紹介が遅れました。わたくし柚禾お嬢様専属執事の栖雲埜夜と申します」
「は、はぁ……」

