本当は、先週来るはずだった。

しかし、深月の喉と鼻風邪がなかなか治らず、今日になってしまったのだ。

ご丁寧に袋に入れられたプリンを2つ持ったベージュのコートにラベンダーのスカートの深月が、俺を見つけて顔を綻ばせた。

「お待たせー!
やっぱり、屋根があると少し暖かいね!」

テントの中にベンチとテーブルが並ぶ簡素な作りのイートインスペースは、人で埋め尽くされていた。

「ごめんね……
先週行けてたら、少しは空いてたと思うのに」

「気にするなって。
風邪引かれたまま行っても、楽しめなかっただろうし。

可愛い深月が見れれば、俺は満足」

そう言うと、彼女はいつもどおりの笑顔を見せてくれた。

だが、目の下にはうっすらクマが出来ている。

「まさか、またお袋さんの手伝いか?
俺を呼んでくれてもいい、って何回言った?」

「そうしちゃったら、ミッチーへのプレゼント、買えなかったもん……

後で渡そうと思ったけど、プレゼント、って話題出しちゃったから。

メリークリスマス、ミッチー。

一緒に居られて嬉しい。

これからもよろしくね!

大学行ったら離れちゃうけど、こんな感じで会う時間は作れるようにしていきたいな」