「そりゃそうだ。
琥珀、人のフォームを自然にトレースすることができるもんな。
本人は無自覚だけど。

バッセンにとっては商売上がったりで、
いろんな施設を出禁になってるよな、琥珀。

海の向こうで実力を認められて賞を何度も獲得した数多の選手。
彼らが投げる速度の球を普通にホームランに出来るし。

普通に考えて、居るだけでチートみたいなもんだろ。

俺と何回もあの施設行く度に、はしゃいでる琥珀が可愛いんだけどな」

「ちょっと、もう!

優弥!

全然そんなんじゃないのに!

って、ちょっと!
バラしてどうするの!

「なぁんだ、琥珀ちゃん、
ちゃんとイケメンの彼氏さんいたんじゃないのー!

黒沢くん、大学が忙しくなったからなのか、辞めちゃったけどね。

その彼と仲が良かったから、てっきり黒澤くんとそういう仲なのだと思ってたんだが」

その言葉を聞いて、ピザをつまもうとしていた手が止まった。

いや、止められた。

優弥に手を引っ張られて、皆の輪から少し外れる。

「琥珀、明日はバイト休み、って言ってたよね?

忘年会終わったら俺に付き合って?

琥珀は俺の彼女だ、ってこと、身をもって教えておかないとね

明日は覚悟してね?琥珀」

明日のクリスマスイブは、今までのどんなクリスマスより、甘く幸せな1日が過ごせそうな予感がした。