家出少女の反抗


でっぷりとした鹿田先生の背中を見守った後、早速スマホを取り出し「反省文コピペ」を試そうとネットを開く。




相変わらず軟弱で直ぐにコピペだとバレてしまうような、ひどい文章しかない。



「所詮ネット民の文章力なんて宛にしたらろくなものではない」と、神様から宣言させられてるぐらいに陳腐。



これに更に捻りを加えなければ、一発でパクったことがバレてしまう。




ーーー面倒くさいな………。




仕方がないので複数のサイトを、拝見してみる。


結果は惨敗。


案の定そのまま使える代物でもなく、頭を悩ませた。




「なぁ、お前。こんな時間まで何してるんだ?」




必死にネットサーフィンをして何とか文章を組み合わせて反省文を試そうと、試行錯誤していた矢先。





突然として、声をかけられた。






眼の前を見ると整った顔立ち美青年とも言える大人ーー神楽怜音先生の姿が、そこにあった。





神楽怜音ーー年齢26歳の体育教師。


体型は、鹿田先生の真逆。


若い先生でありながらある程度芯を食った発言は男女の生徒問わず、信頼されている。


それに人を引き付ける国宝級の容姿は女子生徒を虜にし盲目にさせる、魔力みたいなのがあるみたいだ。


休み時間いつも女子生徒が怜音先生の周りをも取り囲んでいるから、間違いないだろう。



バレンタインデーになろうものならチョコレートで靴箱がいっぱいになり、本人は困り果てているともよく耳にする。



その間相まってか怜音先生のファンクラブまで、あるとかないとか。



明るく気さくな性格は男子生徒にも反感を買わず「学内の人気者」というポジションを、難なく確保している教師だ。


でも嘸かしイケメンという生き物は、生きるのが大変なんだろう。

「恋愛で世界を冷静に見れない、盲信者」に成りつつある「女子ゾンビ」達を相手にのらりくらりとかわさなければならない色恋沙汰が、多いに違いない。


全く……絶対に先生となんて結ばれるわけ無いのに、女子生徒の「少女漫画のように夢中になるその気力」というのが全く持って理解出来ない。



毎日女子生徒は劈くような声質で怜音先生の日々の行動を淡い歓声で口にしているのも、迷惑だということに気がついていないのだろうか?

ーー玲音先生も日常の事を毎日噂されるの、苦痛だろうに懲りないなー。


女子生徒の「憧れ」という原動力は、凄まじい。


まぁ怜音先生の本性の部分知ったら、どうなんだか。




こういう若い先生に限って女子生徒にモテようとして話し掛けているところもよく目に入るから、正直本性の部分は大抵クズが多い。


怜音先生のことはあまり知らないが、前の経験からなんとなーく「そうなのではないか」という疑念が拭い去れない。


だから私は余り関わり合いを持ちたくないし、トラブルになるだろうから怜音先生に近寄らないのだ。


怜音先生の反応を無視して、スマホを触る。






別に怒られてしまってもいい。




こういうタイプの人間は生まれてくる位置みたいなのが違うし、価値観など合うはず無いから興味ないふりをしておくのが一番だというのを脳が覚えている。




「プッ」




誰かが吹き出した。



誰かと言っても、私と怜音先生以外しかいないが。




前を向くと怜音先生が白い歯を見せて、豪快に肩を震わせていた。





「お前って、相当度胸のあるやつだな。久々に笑ったわ」




怜音先生は人笑いした後、私の目線に合わせてしゃがみ込む。





「霞って名前なんだな。噂通り、スゲークール」