「助けて!!」と抵抗しようとしたら、口元を塞がれた。



「十万も払ってられねぇーや。ヤリ捨て上等だな。この女は。だって、そんなに可愛くねぇーもん」



お腹のそこからなにか猛烈にムカムカする胃液が押し上がってきて、喉がヒリヒリする。




その胃液をゴクリと元あった場所へ押し込むと同時に、汗が滝のように吹き出た。



ーー嫌だ………嫌っ!!離してっ!!



必死にもがいて相手の髪や、洋服を掴もうと渾身の力を込めて、腕を振り落とそうとして空振り。



押し返されてすぐに手が伸びているのを、私は黙って目視するしかないのか……。



太ももに男の手が触れた瞬間森羅万象、ありとあらゆる世界が灰色に染まっていく一瞬の出来事だった。



「おっさん、辞めろよ。しつこい男は嫌われるぜ」



突如として太ももに侵略していた男の手が、ピタリと止まる。




ゆっくりと視界を上げると、おじさんは何者かに頭を掴まれて、呻いていた。



その背後からーーー。


「大丈夫?お嬢ちゃん?」



銀髪の美しい髪が月夜の光にキラキラ反射して、物語に出てくる白馬の王子様と似つかぬ細身の男がそこにいた。