覚えたくない恋はいらない

奈央は私がぎゅっと抱きしめてやるとはじめはされるがまま体をあずけるが、しだいに感情を取り戻したようにわんわん泣き出す。



いつものことだ。



今日はたまたま。



ねえ、それっておかしくない?



まだ残っている正義感のあった私の声がいつものように聞こえる。



おかしいよ、この家は。



そんなこと今更じゃん。



私のお母さんを返してよ。



なんて私はまた誰にも言えずにいる。