*
「いらっしゃいませ」
「あの、すみません。先ほどお電話した黒瀬と申します」
「黒瀬様ですね。少々お待ち下さい。担当の者を呼んで参ります」
医局で物件探しをして、とある不動産屋に問い合わせしたら、直ぐにも内見させて貰えることになった。
たまたま早番勤務ということもあり、いつもよりだいぶ早くに退勤した夕映は、その不動産屋を訪れたのだ。
「お待たせ致しました。先ほどはお電話頂き、ありがとうございました。担当の小川と申します」
「急な電話で申し訳ありません」
「いえいえ、とんでもありません。私共はこれが仕事ですので、お気になさらず、何でもお気軽にご相談下さい」
三十代前半といったところだろうか?
世代で言えば同年代に見えるその営業マンは、夕映が問い合わせた物件の資料の他に、似た物件の資料を幾つか用意してくれていた。
三十分ほど店内で説明を受け、その後にお目当ての物件の内見へと。
*
店舗から車で五分ほど。
夕映が勤務する都立江南病院からは地下鉄で三駅ほど。
今住んでいるタワマンよりは確実に遠くなるが、三駅圏内で済めば御の字な方だ。
駅から徒歩六分、十三階建てのマンションの七階の角部屋。
南向きのマンションの一番西に位置する部屋で、一LDK。
家賃も相場ほどで、とりわけ高くもない。
「すみません。……あの建物の工事は、いつ頃までかかりますか?」
「あれですか……。つい最近始まったばかりなので、一年以上先になるかと思います」
「……そうですか」
「いらっしゃいませ」
「あの、すみません。先ほどお電話した黒瀬と申します」
「黒瀬様ですね。少々お待ち下さい。担当の者を呼んで参ります」
医局で物件探しをして、とある不動産屋に問い合わせしたら、直ぐにも内見させて貰えることになった。
たまたま早番勤務ということもあり、いつもよりだいぶ早くに退勤した夕映は、その不動産屋を訪れたのだ。
「お待たせ致しました。先ほどはお電話頂き、ありがとうございました。担当の小川と申します」
「急な電話で申し訳ありません」
「いえいえ、とんでもありません。私共はこれが仕事ですので、お気になさらず、何でもお気軽にご相談下さい」
三十代前半といったところだろうか?
世代で言えば同年代に見えるその営業マンは、夕映が問い合わせた物件の資料の他に、似た物件の資料を幾つか用意してくれていた。
三十分ほど店内で説明を受け、その後にお目当ての物件の内見へと。
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店舗から車で五分ほど。
夕映が勤務する都立江南病院からは地下鉄で三駅ほど。
今住んでいるタワマンよりは確実に遠くなるが、三駅圏内で済めば御の字な方だ。
駅から徒歩六分、十三階建てのマンションの七階の角部屋。
南向きのマンションの一番西に位置する部屋で、一LDK。
家賃も相場ほどで、とりわけ高くもない。
「すみません。……あの建物の工事は、いつ頃までかかりますか?」
「あれですか……。つい最近始まったばかりなので、一年以上先になるかと思います」
「……そうですか」



