(采人視点)
少し早めに仕事を終え、看護師の間で美味しいと評判のケーキ屋さんを教わり、ロールケーキを購入した。
いつものように別宅に入ると、何故か今日は美味しそうな匂いが鼻腔を掠めた。
パタパタとスリッパ音を鳴らしながら駆けて来た彼女。
俺の訪問を待ってたのか……?
ちょっぴり心が擽られた感覚を覚えた、次の瞬間。
足下に見慣れぬ靴が二足。
「……今、両親が来てて」
「……ご両親が?」
両親が来た理由を慌てて話す彼女。
動揺している様子が表情から伝わってくる。
そんな彼女の背後に、すらりとした女性が現れた。
……彼女の母親だろう、見た目が瓜二つだ。
「初めまして、神坂 采人と申します」
「お時間がおありでしたら、上がって下さい」
「……では、お言葉に甘えて」
手土産のケーキを彼女に手渡し、部屋へと上がる。
リビングには寛ぐ父親がいて、俺を見るや否や硬直した。
「改めまして、神坂総合病院で外科医をしております、神坂 采人と申します」
深々と頭を下げ、名刺を差し出し挨拶をする。
幼い頃から身につけて来た所作。
視線一つとっても、相手に好印象を与える振る舞いは体に染みついている。
彼女の母親のご厚意に甘えて、夕食を頂くことになった。
用意が整うまでの間、父親とリビングで過ごすことになり、それとなく会話を振る。
「突然、見知らぬ男が現れたので、ご気分を害されましたよね」
「……いえ、お付き合いしている人がいるのは聞いていたので。それに、娘がこんなに素敵な家に住まわせて貰えて、こちらの方こそ御礼を言わねば。……本当に仕事以外は取り柄のない子なので」
「そんなことないですよ。我慢強くしっかりしてますし、愛嬌もあって可愛いですし。何より、男性に媚びない所が魅力的です」
「あの子の中身をちゃんと見てくれてるんですね」
第一印象は上々といったところか?
少し早めに仕事を終え、看護師の間で美味しいと評判のケーキ屋さんを教わり、ロールケーキを購入した。
いつものように別宅に入ると、何故か今日は美味しそうな匂いが鼻腔を掠めた。
パタパタとスリッパ音を鳴らしながら駆けて来た彼女。
俺の訪問を待ってたのか……?
ちょっぴり心が擽られた感覚を覚えた、次の瞬間。
足下に見慣れぬ靴が二足。
「……今、両親が来てて」
「……ご両親が?」
両親が来た理由を慌てて話す彼女。
動揺している様子が表情から伝わってくる。
そんな彼女の背後に、すらりとした女性が現れた。
……彼女の母親だろう、見た目が瓜二つだ。
「初めまして、神坂 采人と申します」
「お時間がおありでしたら、上がって下さい」
「……では、お言葉に甘えて」
手土産のケーキを彼女に手渡し、部屋へと上がる。
リビングには寛ぐ父親がいて、俺を見るや否や硬直した。
「改めまして、神坂総合病院で外科医をしております、神坂 采人と申します」
深々と頭を下げ、名刺を差し出し挨拶をする。
幼い頃から身につけて来た所作。
視線一つとっても、相手に好印象を与える振る舞いは体に染みついている。
彼女の母親のご厚意に甘えて、夕食を頂くことになった。
用意が整うまでの間、父親とリビングで過ごすことになり、それとなく会話を振る。
「突然、見知らぬ男が現れたので、ご気分を害されましたよね」
「……いえ、お付き合いしている人がいるのは聞いていたので。それに、娘がこんなに素敵な家に住まわせて貰えて、こちらの方こそ御礼を言わねば。……本当に仕事以外は取り柄のない子なので」
「そんなことないですよ。我慢強くしっかりしてますし、愛嬌もあって可愛いですし。何より、男性に媚びない所が魅力的です」
「あの子の中身をちゃんと見てくれてるんですね」
第一印象は上々といったところか?



