白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです

(采人視点)

術後間もない入院患者が“シャワーを浴びたい”と看護師に訴えて来たようで、許可を求め、看護師が医局へとやって来た。
ちょうど帰宅しようと思っていたから、帰り際に患者本人に“軽めのシャワーなら許可する”と伝えた。

職場を後にした俺は病院から程近い、フルーツギフト専門店で詰め合わせを購入。

テレビや雑誌などでも頻繁に取り上げられる『カットフルーツ』。
果物の皮を器にし、美麗にカッティングされたフルーツが盛られている。
それを手土産に、彼女が住んでいる自分の別宅へと向かった。

マンションのエントランスに到着。
エラーになるだろうと思いながらも、念の為に自分が設定した暗証番号を入力すると、何故かエントランスのドアが解除された。

「変えてないのかよ」

マンションのスペアキーを渡す際に、暗証番号の変更の仕方も教えたのに。
引っ越しに追われて、忘れているようだ。

エレベーターのセンサーにキーを翳すと、内蔵されているICチップが読み込まれ、自動で住居フロアへと上昇する。
高層階は、見知らぬ第三者が勝手に住居エリアに侵入できない仕様なのだ。

自宅の玄関前に到着し、深呼吸してインターホンを鳴らす。
暗証番号を入力すれば、ドアロックは解除されるが、そこは一応プライバシー優先ということで。

もう寝てしまったのだろうか?
ふんともすんとも返事がない。
電話を切って、まだ三十分も経ってないのに。

再びインターホンのボタンを押してみるが、返答がない。

「えっ、まさかとは思うが…」

一抹の不安が過り、慌てて暗証番号を入力する。