白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです


あぁもう、神坂医師に隠していることは何もない。

職場の戸部先生に相談しようかと思ったけれど、これ以上幻滅されたくなくて言えなかった。
仕事くらいは一人前だと認められたい。
だからこそ、今までプライベートでの弱音は一度も吐いて来なかった。

面倒見のいい先生だから、相談すれば、きっと親身になってくれるだろう。
だけど、そんな風に甘えることが私にはできない。

「あ、ごめんね。看護師が呼びに来たから、一旦電話切るね」
「はいっ、お忙しい中、すみません」
「じゃあ、また後で」

通話を切り、溜息が零れる。
誰かに打ち明けることができただけで、だいぶ心の凝りが解れた。

やっぱり彼は、王子様だ。
いつだって危機に陥ってる私に優しく手を差し伸べてくれる。

冷蔵庫を開けて、溜息と共にドアを閉めた。
お腹は空いているけれど、食欲がない。

「珈琲でいいか」

カプセル式の珈琲メーカーにカプセルをセットして、床に座り込んだ。

次から次へと暴露する形で羞恥部分を話してしまったことに、夕映の心は深いダメージを負っていた。
勉強も仕事も恋愛も全て上手くいっていると思っていたけど、まるで絵空事だ。

人よりちょっとだけ勉強ができただけ。
就職はできたけれど、まだまだ半人前。
『愛されてる』だなんて、何を勘違いしてたんだろう。

惨めすぎて悔しくて。
悲しくてやりきれなくて、涙が溢れ出る。

**

愛用の浴用化粧料を湯に溶かし、シャワーでお湯を張る。
単に湯に浸かるのではなくバブルバスに浸かるのが、夕映のお気に入り。

久しぶりに入念にヘアパックを施し、体を洗っていた、その時。

「早まるなっ!!」