白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです



「挙式をどこでするとか決めたのか?」
「まだ」
「夕映さん、希望とかがあれば、采人に遠慮なく言っていいんだからね?」
「……はい」

おせち料理と寄せ鍋を囲みながら、予想していた話題に変わる。

前に『春先に』だなんて言われたけれど、詳しい日程なんて話題にすら出たことがない。
既に入籍していることもあって、挙式はあまり急ぐ必要もない気がするけれど。

「春から賑やかになるな」
「正月が明けたら、年度末まで忙しくなるだろうけど」
「最新設備はいつ頃搬入されるの?」
「内装工事が完了するのが三月上旬の予定だから、それ以降になるだろうな」
「五年も勤めた職場を去るのは寂しいわよね」
「……へ?」
「大丈夫よ、心配しなくて。采人がいるし、主人もお義父さんもいるから」
「……??」
「夫婦揃ってチーフとはな、実に華々しい」

何の話をしているのだろう?
蚊帳の外とはこのことで、五人の会話に入っていけない。

「まだ夕映に話してなくて」
「なんだ、そうなのか?」
「……ん」
「采人さん、どういうこと?」

隣りに座る彼の腕を掴む。
五年勤務した職場を離れるだの、夫婦そろってチーフだの、意味が分からない。

「夕映さん、前に私が話したことを覚えているかな?」
「……総合救急医療の話ですか?」
「そう。この四月から正式にうちの病院で一次から三次まで随時受け入れる救急指定病院となる」
「ドクターカーもですか?」
「もちろん、それが目玉だからね」
「わぁ素敵!!」
「その一次救急(ER)のチーフが夕映さんだ」
「……へ?」

……え?
今、何て言ったの?
私、そんな話、聞いてないんだけど。
頭が真っ白になって、言葉が出て来ない。