白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです



「明けまして、おめでとうございます」
「明けましておめでとうございます。寒かったでしょ?どうぞ上がって」

お正月に神坂家にご挨拶に行くことになっていたから、予め買っておいた手土産を持参。
玄関でお義母様が出迎えてくれた。

「お義母様、これを」
「気を遣わなくていいのに。次からは手ぶらで来てね」

小柄だが愛嬌があって、そして色気がある。
同じ世代なのに、自分の母親とは纏う雰囲気が全然違う。

リビングの一角に一段高く作られた和室。
掘りごたつになっていて、お義父様とお祖父様はそこにいらした。
お祖母様はキッチンで何やらお料理中のようだ。

「夕映さん、甘いの好き?」
「夕映は辛党だよ」
「好きです!ケーキも大福も、職場でよく食べます!」

要らぬことを言わなくていいのに!
キッと睨んで、彼の腕を抓った。

甘い匂いが部屋に充満しているところをみると、おしるこを作ってくれているようだ。

「ごめんなさいね、先に言っておけばよかったわね。うちはお雑煮じゃなくて、おしるこなのよ」
「自分では作らないですけど、職場にある自販機に冬場限定でおしるこがあって、疲れた時に糖分補給に買ったりします」

フォローになってるだろうか?
普段仕事では使わない脳をフル活用して語彙を引き出す。

「夕映、無理して合わせなくていいから」

クスクスと笑う彼は、男性陣の元へ行ってしまった。

「何か手伝うことはありますか?」

嫁アピールしておかねば、他で点数を稼げるところがない。
夕映はヒヤヒヤしながら、キッチンにいる女性陣の元へ。

「じゃあ、熱燗を運んで貰えるかしら?」
「はいっ」

お義母様からお盆に乗せられたお酒を受け取り、男性陣の元へと運ぶ。
終始緊張はするけれど、神坂家の雰囲気は穏やかで居心地がいい。