白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです

(采人視点)

漸くこの日を迎えることができた。

夕映と知り合って半年。
挙式は早くて来年になるだろうと思っていたから、まさかまさかこんな急展開に事が運ぶとは思わなくて。

夕映とクリスマスの予定を立てた翌日。
俺は祖父に『正月に夕映を連れて行くから』と伝えると、それなら両家で顔合わせをしようという話になった。

夕映の母親に連絡を入れると、この時期の観光地は閑散期らしく。
時間はいつでも融通が利くと仰ってくれた。

自分の両親にも伝えたところ、クリスマスパーティーのような形で、アットホームな感じの顔合わせにしようということに。
都内でも一、ニを争う大病院を経営している神坂家との温度差を感じさせないように、祖父母と両親の配慮だった。

場所は俺の自宅マンション。
当日群馬から上京して貰うために、ホテル代わりに俺の自宅に泊まって貰うことにした。

食事や部屋の飾り付けなどは祖母と母親が張り切ってしてくれて、飲み物の選定は父親がしてくれた。
手土産に至っては、祖父が直々に指示を出すほど。

そんなことを何一つ知らない夕映は、『婚姻届』を見て固まった。
それもそのはず。
プロポーズはしたものの、改めて挙式の話をしたり、結納の話なんてしたこともないんだから。

口説きセリフで、それらしく仄めかすことはあったにせよ。
彼女からの愛情をちゃんと感じれるようになるまでは、もう少し我慢しようと思っていた。

五年も付き合った恋人と別れて、まだ半年。
心の傷が癒えてなくてもおかしくないし、そもそも最近まで恋愛本気モードにすらなってなかった。

本当にここ一カ月くらいか?
彼女から少しずつ愛情を感じられるようになったのは。