白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです


リビングとダイニングに沢山の料理と飲み物が用意されている。
それに、リビングの一角に大きなクリスマスツリーも。

「とりあえず、乾杯しましょう!采人は運転があるから、ノンアルでね」

既にパーティーは始まっていたようで、私が途中参加したことにより、乾杯し直しのようだ。

「采人と夕映さんの結婚を祝って、カンパーイ♪」

グラスを持ち上げ、乾杯する。
ゴージャスなホームパーティー?

ちょっと待って。
そうじゃなくて。
今、『結婚を祝って』って聞こえなかった?

ムードに流され、グラスに口をつけた夕映は、隣りにいる采人に視線を向けた。

「辛口にして貰ってあるから」

いやいやいやいや、私の好みなんてどーでもいいから。
今はそんなことじゃなくて、さっきの言葉の意味が知りたいのよ。

「夕映さん、疲れてるところ悪いね。お酒に酔う前に、これにサインして貰えるかな?」
「………ッ?!!!」

ここここここここ、こ、婚姻届じゃないですか!!

お義父様に差し出されたのは、既にほぼ記入し終えてる婚姻届。
私の氏名の所だけが空欄になっている。
証人欄には、お義父様と父親が記入済みだ。

いつの間に用意したのだろうか?

「夕映、これ」
「何、この封筒」
「夕映の戸籍謄本が入ってる」
「へ?」
「本籍地を変更してないから、婚姻届を提出する際に必要なのよ」
「……」
「婚姻届を出すと、私たちの戸籍から抜けて、采人さんと新しい戸籍を作ることになるから」
「……」

ちょっと待ってってば。
誰もそんなこと聞いてないじゃない。

「ほら、酔って手元が狂う前に名前書いちゃいなさい」

母親から無理やりにボールペンを握らされ、その場にいる全員の視線が夕映の手元に注がれた。