夕映から貰えるなら、何でも嬉しいに決まってる。
別にものじゃなくても全然構わない。
俺のためにゆっくり過ごす時間を作ってくれるだけでも嬉しいものだ。
「采人さんは過去の彼女さんから、何を貰ったんですか?」
「何も」
「へ?」
「物で縛られるの嫌いだから、贈ることはあっても、貰うことはして来なかった」
「でも、恋人から『これ貰って』と贈られたら断れませんよね?」
「だから、付き合う前から『物は一切受け取らない』と伝えてたからな」
「うぅっわぁ~酷すぎるっ、それあまりにも酷くありません?」
「束縛したいだとか、束縛されたいだなんて思える子がいなかったから」
「……」
「安心した?」
「っ……」
今の俺を見ろ。
他の女に見向きもせずに、お前だけを一途に想ってるんだぞ。
「今の俺は夕映に束縛されたいし、お前をベッドに縛り付けたいけどな」
「っっっ」
そうそう。
脳の中を俺で埋め尽くせ。
仕事のことすら考えられぬほどに。
「実際問題、采人さんは何でも持ってるじゃないですか」
「……大抵の物なら」
「物欲あります?欲しければ何でも手に入るから、物欲が湧かないんじゃ?」
「だから、夕映が欲しいって言ってんだろ、だいぶ前から」
「っ……」
恋愛に奥手の夕映は、キスや軽いボディタッチはOKでも、いざ本番となると拒み始める。
『嫌がる夕映を無理やり抱いたりしないよ』と言ってしまった手前、強引に奪うことにも抵抗がある。
結婚を白紙にされても困るし、元彼とのことで心に傷を負っていたとしたら、逆効果な気がして。
未だに俺らは清い関係のまま。
俺を拒む女なんて、夕映が初めてだ。



