「神坂さんが、腹黒なの?」
「……と思う」
「例えば?」
「私はいつもの通り、お盆休みもずらしての勤務だったんだけど、彼は当直以外は休みだったみたいなの」
「ん」
「引っ越しの時以来、私の両親と連絡取り合ってるみたいで」
「…ん」
「私に内緒で、お盆休みに実家に行ったのよ」
「何しに?」
「お墓参りという建前で、両親の機嫌取り?」
「付き合い始めてまだ日が浅いよね」
「正確には、私が付き合うと決めた前の日に、群馬に行って来たみたい」
「それは凄いかも」
「でしょ?しかも、町内の夏祭りにフラダンスで参加する母親の応援で夜までいたみたいで。フラダンス仲間に私の婚約者だって挨拶したらしくて」
「え…?」
「隣りの家のおばさんから、婚約おめでとうのメールが届いたんだから」
「まさかとは思うけど、泊まりじゃないよね?」
「さすがにそれは…。車で行って来たみたい。『運転するから、お酒は飲めない』って断ったって」
「夕映、相当骨抜きにしてんだね」
「……」
骨抜きだなんて、何かをした覚えなんてないのに。
「しかもね、事前に行くと話してたみたいで、両親からの送り込みを大量に持ち帰ったの」
「うっわ」
「冷蔵庫に入りきらないほどの常備菜に、冷凍庫にまだ沢山あるのに大量うどんが送り込まれて来たんだから」
「あ、それでうちにもお裾分けしてくれたの?」
「真子のところは別物だよ。冷凍庫に入りきらなくて、職場で配布会した」
「うらやま~。うちならいつでもウェルカムだよ」
「ここの住所教えてもいいなら、直送頼んであげる」
「え、ホント?」
今日新居にお邪魔することになっていたから、大量の冷凍うどんを持参した。
どうせ、月が替わればまた送り込んで来るもの。
「他にもあるから、聞いてくれる?」
「えっ、まだあるの?」
「まだまだ序の口だよ」



