白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです

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「本当に泊まるつもりですか?」
「さっきまで一緒に寝てただろ」
「寝落ちした私の隣りで、采人さんが勝手に寝たんじゃないですかっ」
「介抱してやったのに」
「頼んでませんよ」
「可愛げのない奴だな」
「可愛げなくて、どうもすみません。寝るなら、ご自分の部屋で寝て下さいよ」
「恋人同士なんだから、別にもういいだろ」

さっきは無理やりキスをされたようなもの。
けれど約束通り、ベッドから出る際に目を瞑っててくれたし、浴室に乱入して来ることも無かった。
別に一緒に入浴したいだなんて思ったわけじゃないけど。
いまいち彼の攻めと引き際の境界線が分かりづらい。

恋愛経験が豊富なわけではないから、彼の言動にいちいち反応してしまう。

そして、午前三時を過ぎている今。
彼はこのまま泊まると言って聞かない。

家にいる時間が少ない私は、この家で使用している部屋なんて限られていて。
一応、住み始める際に一通り部屋を確認したけれど、主寝室(彼の寝室)の他にゲストルーム(私の寝室)と書斎や空き部屋など、『ザ・高級タワマン』そのもの。

だから、泊まるとしても別々に就寝できるのに、何故か私のベッドに横たわっている。
ダブルベッドだから二人で横になっても余裕なんだけど。
交際初日で関係を結ぶだなんて、私にはできない。
そんなこと、恋愛上級者のすることだから。

彼への想いが本気なのかすらまだよく分かってないのに、どう接していいのか分からない。
視線の先にいる彼は動揺している私の姿を見て、とても楽しんでいる。

「付き合うとは言いましたけど、正直まだ自分の気持ちも把握できてないので」