「キスしたら、瞑ってくれる約束だったじゃないですかっ」
「気が変わった」
「っ…」
キスしたまま押し倒し、組み敷いて彼女を見下ろす。
肌掛け布団から露わになった肌は常夜灯に照らされ、色気が何倍にも増している。
乱れた髪。
艶めく唇。
火照る頬。
潤む瞳。
そして、手足をばたつかせ、必死に抵抗する華奢な体。
両手を押さえつけているから、涙目で訴えてくる。
それさえも欲情するには十分すぎるのに、小さな唇の隙間から漏れる吐息に煽られっぱなしだ。
「無理やりされるのも、痛いのも好きじゃないですっ」
「じゃあ、どうされるのが好き?」
「っ……ふ、普通ですよっ」
「普通って?」
「そんなの……決まってるじゃないですか」
「へぇ~初耳。こういうことに決まり事があるんだ」
ぎゅっと目を瞑りながら、恥ずかしさから逃れようと必死だ。
「俺が満足できるキスしたら、解放してやるよ」
「なっ…」
キスだけで解放してやるんだから、有難いと思え。
交際を受け入れてくれたとはいえ、今はまだ俺の方が好き領域が広い。
これが対等になり、俺の心を満たしてくれるようになるには、一体どれほどの時間を要すればいいのやら。
シーツに張り付ける腕を緩め、指先を絡ませる。
俺からの愛を受け取ったら、ちゃんと利子付けて返せよな。
彼女のご所望の通り、優しく丁寧にキスをする。
角度を変え、啄んで甘噛みして舌先を絡めとる。
ゆっくりとした深いキスがお好みらしい。
呼吸の合間に甘い声が漏れ出し始めた。
もっともっと、もっとだ。
キスだけでなく、俺の全てを求めて来い。
お前になら幾らだってくれてやる。



