白衣を着た悪魔の執愛は 不可避なようです


今、『一緒に風呂入る』って言わなかった?
いやいやいやいや、聞き間違えだよ、うん。

「聞き間違いじゃないぞ?」
「ふぇっ…?」

ブンブンと顔を横に振っているものだから、脳内を読み取られたらしい。
何がどうしたらそういう思考になるんですか。

「言っときますけど、私まだ『結婚する』とは言ってませんからね?」
「キスした仲なのに?」
「あれは、酔った勢いというか…」
「裸も見た仲なのに?」
「あれは不可抗力です!」
「こういう状況が初めてでもないのに?」
「っ……、毎回寝落ちてる私を無理やりこう仕立ててるんじゃないですかっ」
「無理やり服を脱がせたことなんて、一度もないけど」
「っっ」
「昨日だって、俺が脱がせてるのに嫌がる素振りも見せなかったのは夕映だろ」
「ん~~~っっ」

あー言えばこういう。
本当に腹黒というか、策士というか。
全部読み切っていて仕組んでいるのに、突っぱねることができない。

「夕映と結婚するために婚約を解消したんだぞ」
「っ……頼んでませんよっ」
「家も指輪も受け取っておいて?」
「っっっ~~」

卑怯すぎる。
言い返すどころか、御礼を言わねばならないような状況証拠が揃ってるじゃない。

「命がけで守ったのに」

もうお手上げだ。
金銭問題だけでも頭が上がらないのに、ストーカー事件を出されたら私に勝ち目なんてない。

「分かりました。……一先ず、お付き合いするという形で」
「挙式は来年の春先っていうのはどうだ?」
「人の話聞いてます?」
「聞いてるよ」
「とりあえず、付き合うというだけで」
「別れるつもりはないんだから、挙式の話をしても問題ないだろ」

ダメだ。
一つを許可したら、十くらい煮詰めて来そうだ。