極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む

 食事を終え、駅の近くでみんなと別れた。
去り際に「次は菜乃花の話、楽しみにしてるからね!」とみんなに快活に微笑まれたため、私は精一杯の作り笑顔を返したけれど、心の鉛はずしんと重くなった。
 食事中にワインを飲んだものの、そのまま自宅に帰る気にはなれず、ふらふらと駅前の居酒屋に入った。

「すみません、生ひとつ」
「かしこまりましたー」

 オーダーをし、カウンター席に座った。
 テーブル席のほうは若者がたくさんいてざわざわと騒がしいけれど、そのBGMは案外救いかもしれない。
 ……若者、か。
 私はもう若いからと理由をつけてこの問題から逃げられる歳じゃないんだよな。
 二十七ともなれば結婚式に呼ばれる機会も増えてくるし、すでに三人の子を持つ母親になっている友人だっている。
 結婚も出産も、もう私の年齢では身近な話なのだ。
 周りの友人たちに突っ込まれるのも仕方がない。
 お通しのもずく酢とビールがカウンターに置かれ、半ば投げやりにジョッキを思いきり傾けた。