極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む

 もうすぐ十八時。
 午後の外来はとっくに終わっており、院内には入院患者の面会に来ているであろうひとがちらほらといて、あとは全て医療スタッフだ。
 エレベーターでなく人目につかない階段を使い、四階へとのぼる。
 医局に続く廊下で足を止め、壁の凹凸になっている部分に隠れて蹲った。
 今さらだけれど、会えるかどうかもわからないのにこれからどうすればいいんだろう。
 私服で医局に入るわけにもいかないし、着替えたとしても新生児科の先生方に見られて『今日は休みだろう?』なんて言われたらアウトだ。
 途方に暮れていると、靴音が近づいてきてギクッとした。
 どうしよう。知っているスタッフに見られたら困る。言い訳なんて何も考えていない。
 あたふたしながら頭を抱えて丸くなっていると、

「何をしてるんだ?」

 訝しげな声が上から降ってきてパッと顔を上げた。
 思いきり首を上げないと見えない長身の篠宮先生は、下から見てもイケメンだ。
 幸運にもお目当てのひとに会えたというのに、まさかこんなにすぐに会えるとは思わず、口をパクパクさせる。