極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む

「……先生?」

 広くてシンプルな室内に篠宮先生の気配はなく、しんと静まり返っている。
 カーテンが開いている窓からは明るい日が差し込み、外はずいぶんと遠くまでビル群が見渡せる。
 ドアはいくつかあるようだから、先生はどこかに別の部屋にいるかもしれない。
 かと言って、勝手に他の部屋を覗いて回るのも……
 どうすればいいのかと考えていると、ダイニングテーブルにメモ書きの紙を見つけた。

『途中で寝てしまったから俺の自宅に連れてきた。
俺は仕事に行くから、無理をせず体調が回復してから帰宅してくれ』

 斜めあがりの走り書きと、そのそばにはカードキーらしきものが置かれている。
 やっぱりここは先生の自宅なのか。
 首を垂れてため息を吐いた。

「私、とんでもないことを……」

 罪悪感でいっぱいだ。
 先生は善意で私を助けて家まで送ろうとしてくれただけなのに、まさかここまで世話を焼かされることになるとは思わなかっただろう。