極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む

 少しずつ意識がはっきりしてきて目を開くと、ぼんやりと白い天井が見えた。
 当然そこに彼はいない。
 ……夢か。久しぶりにあの日の夢を見たな。
 胸がズキズキと痛んで、目に涙が溜まっていることに気づく。
 目元を拭うと、視界の端に茶色い何かが映った。
 そちらを向くと、天井まで据え付けられた大きな書棚がある。
 こんなもの、私の部屋にはない。
 ぼんやりしていた頭が一気に冴えて恐怖心に襲われたとき、書棚の中に医学の専門書ばかり並んでいることに気づいた。
 ……そうだ。
 私、昨夜車で篠宮先生に自宅まで送ってもらっていたんだ。
 けれど、車の中で無言のまましばらく揺られていてちゃんと道案内をした記憶がない。
 もしかして私、あのまま眠ってしまったんだろうか。
 だとすれば、この書籍の数々を見ればここが篠宮先生の部屋であることは予想がつく。
 私、先生に迷惑をかけた……?
 ゆっくり起き上がると、身体は怠く胃がもたれている感じはあるけれど、ひどい二日酔いというほどの状態ではなさそうでホッとした。
 ベッドから降り、おずおずとドアを開けるとリビングダイニングへと続いていた。