雲1つない空。

今日の俺は、
ゆかりとデートすることに
なっていた。

レンタカーを用意してと頼まれて
SUVのちょっと見た目が
カッコいい車を
チョイスして
自宅に迎えにいく。


ゆかりは
ナチュラルな化粧の
古き良き時代の
ヤマトナデシコと言われるような
和に忠実な女性だった。


話し方もゆっくりで
丁寧。


心がほんわかする。

髪をアップにして
うなじが綺麗だった。

「何見ているの?」


「ああ、ごめん。
 見惚れてた。」


「こっち見てたら
 脇見運転になるよ。
 前見てね。」


 優しく頬を触られた。


「う、うん。」

 
 ちょっと調子が狂う。
 恥ずかしくて
 どう対応していいか
 わからなくなる。


 ゆかりの昼間は
 男をたてるというか
 前に出なくて
 奥ゆかしい態度だが


 ひとたび
 ベッドに行けば
 女王様のように
 指導される。


 裏の顔がある。


 でも、そんなゆかりも
 嫌いじゃない。


 いつもゆかりと行く場所は
 決まって、
 神社かお寺めぐりで
 パワースポットでご利益を
 あやかりにいく。


 
 お賽銭を賽銭箱に入れて
 ガラガラと鳴らし
 両手を合わせる仕草は
 ゆかりの魅力的な
 フェロモンが漂ってる気がする。

 それでなくても
 いつもほんわか
 のんびりとしたオーラを
 持っていて
 安心していた。

 参拝した後に境内にある
 茶室でお抹茶と和菓子を
 食べるのがルーティンに
 なっていた。

「美味しい。
 ほっぺた落ちそう。」

 お花模様の可愛い形の練りきりを
 食べて満足そうだった。


「あれ、ゆかりって
 茶道習ってたことってあるの?」


「習ってたというか
 教室に行ったわけじゃなくて
 おばあちゃんに少しだけ
 教わってたのよ。
 抹茶は苦いけど、
 この苦味が
 いいんだよね。」

「へー、おばあちゃんが
 茶道できるんだね。
 確かにコーヒーと同じで
 甘いものと苦いものは
 交互に食べたくなるな。」


「そうそう。私もそう思う。」

 ゆかりは
 和を大事にする家庭で育ってるようで
 着物の着付けも自然に覚えたようだ。


 いろんな彼女と交際して
 悠はいつも新鮮な気持ちで
 楽しめていた。

 はたから見たらゲスな男だと
 非難を浴びるかもしれないが
 それでいいと思っている。


 自由に生きたい。


 想いはひとつだ。