クズ男に囚われたら。



────キーンコーン……。


そんなタイミングで、授業を終わらせるチャイムが鳴り。

そのあとも栞は瀬能のことについて色々言っていたけれど、結局いつも通り何の解決にも繋がらないまま、あっという間に放課後になってしまった。


だから、というべきか、今日は初めての試みをしてみようと思う。



「えっ、七帆ちゃんそのまま帰るの?」

「うん。そうしてみようかな」


真っ先に帰る身支度をするわたしに、栞は目を丸くした。


いつもなら、放課後はあの旧音楽室に行くのがほぼ日課なんだけど。


「今日は昼休みに行ってるし、よく考えたら別に毎日約束してるわけでもないしね」

「もしかして、さっき栞が言ったこと気にしてる……?」

「あはは。まぁそれもあるけど、わたしがこうしてみようって思っただけだよ」