クズ男に囚われたら。



───なんて、心を許してまんまとハマってしまった自分への言い訳だ。




「瀬能、せのー。10分経ったよ」

「んー……」

「起きてよ。午後の授業始まっちゃう」



ユサユサと体を揺すって瀬能を起こす。

が、返事だけで起きる気配もない。


「……次の授業、サボる」

「はい?」

「橘花、行っていいよ」


やっと会話になったかと思えば、これだ。

10分後に起こしてと言ったのはどこのどいつだ。バカ。



「……呆れた」

「はは。元々呆れてるくせに」

「よくわかってるじゃない」


わたしのその返事に、瀬能はククッと喉を鳴らして笑う。

何がそんなに可笑しいのか、そのまま楽しそうにわたしの顔を見上げた。