クズ男に囚われたら。



「……はや」


それからすぐに聞こえてきた寝息。


警戒心とかはないのだろうか。

他の女の子の前でこんなことしたら、すぐにでも襲われそうだ。


あ、この男にとっては大歓迎なことか。


窓から差し込む光に照らされて輝く髪を見て苦笑した。




───……そもそも、瀬能とこんな関係になるつもりなんてなかった。



1年も、今の2年も、この男とはクラスが違う。

関わるといえば、風紀委員としての生活指導対象に彼がいたということくらい。


元々クズ男なのは知っていた。


だから、あくまでも問題児の対応として話すことがあった程度。


それが崩れたのは、1年の夏休みのことだった。