「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「まあ、私達にとっては不幸な偶然ですね……」

 クルレイド様の言葉に、私は少し驚いた。
 どうやら、二人はその点において似ている訳ではないようだ。やんちゃなのは、クルレイド様だけだったということだろうか。

「おや……」
「クルレイド様? どうかされましたか?」
「ああいえ、あそこに見知った人を見つけて……」
「あれは……」

 クルレイド様の言葉で、私はとある人物に視線を向けた。
 その人物には、確かに見覚えがある。あの人は確か、クルレイド様の行きつけの定食屋の店主だ。

「店主、こんにちは」
「……クルレイド様? またお忍びでお出掛けですか?」

 定食屋の店主は、客商売にしては不愛想な態度をしている。
 それをクルレイド様は、特に気にしていない。常連であるため、気心が知れているということなのだろう。