「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 お父様は、基本的に厳格な人である。そんなお父様にとって、あの伯爵夫人の振る舞いは許せないものなのだろう。
 また、ランペシー侯爵の仇討ちの気持ちもあるかもしれない。今回の件で決別することになったが、それでも心はまだ親友なのだろうから。

「しかし父上、彼女は父上に怯えていましたが、本当に権力者達を味方にすることができます。そうなったら、こちらの勝ち目も薄くなってしまうのではありませんか」
「あまり私を侮るな、と言いたい所だが、確かにあの女が完璧な行動をすれば、こちらの戦況は悪くなるだろう。それができるかとは思えないが、念には念を入れて、今回は味方を集めておくとしよう」

 お父様は、とても冷静だった。ランカーソン伯爵夫人をあれだけ痛烈に打ち負かしても、決して油断はしていないようだ。
 実際の所、彼女の力というのは未知数である。念には念を入れておくべきなのは、間違いないだろう。