「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「権力者の後ろに隠れていることしかできない愚物が、それをさも自分の力のように振る舞っているのが滑稽でならない。お前程の道化など、そういないだろう」
「……」

 そんなランカーソン伯爵夫人のことを、お父様は鼻で笑っていた。
 それによって、夫人の表情が初めて変わった。お父様の態度に、彼女は怒りを覚えているようだ。

「言っておきますが、これは紛れもなく私の力です。私が勝ち取ったものなのです」
「ふっ……ふははっ!」
「な、何がおかしいのですか!」
「いやっ……すまなかったな。大人げないことを言ってしまった」
「何をっ……」

 お父様は肩を震わせながら、ランカーソン伯爵夫人を煽っていた。
 その態度が余程気に入らないのか、夫人は顔を赤くしている。私やクルレイド様と対峙した時には、見せなかった表情だ。