「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 私とロンダーは、ランペシー侯爵とともに屋敷の玄関まで来ていた。
 そこには、確かにランカーソン伯爵夫人がいる。そして既に、お父様とアルペリオ侯爵令息も駆けつけているようだ。

「ふふ、これで全員揃いましたね……アルペリオ、探していたわ。あなたが出掛けているっていうから、こんな所まで来てしまったわ」
「ルノメリアさん、どうしてこんな所に……」

 流石のアルペリオ侯爵令息も、ここまで来たランカーソン伯爵夫人には驚いているようだ。
 しかしランカーソン伯爵夫人は笑っている。以前と同じように、忌々しいくらいに楽しそうな笑みだ。

「ごめんなさい。でも、このことは早く伝えなければならなかったから……」
「伝えたいこと?」
「ええ……あなたにお別れを言いに来たの」
「……え?」

 ランカーソン伯爵夫人は、そこで口の端を釣り上げた。