「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 どれだけ落ちぶれようとも、私の心にはアルペリオ兄様に対する情が残っていたのだろう。
 彼に対して、一定以上強い言葉を出すことができなかった。彼に失望したつもりでも、完全に見限れてなかったのかもしれない。
 それはきっと、今までの出来事で最も侮辱されていたのが自分だったからなのだろう。

「私は今まで、甘かったのでしょうね。アルペリオ侯爵令息、私はもう二度とあなたを兄とは思いません。今日という日が、私達の決別の日です」
「レミアナ……」
「ロンダー、行きましょう。これ以上、この人と話していても時間の無駄だわ」
「は、はい、姉上……」

 私はアルペリオ侯爵令息に背を向けて、部屋から出て行った。
 なんというか、不思議なくらい清々しい気分である。もしかしたら、私はこれでやっと未来に進むことができるのかもしれない。私はやっと、彼を断ち切れたのだ。