「君達に何があったのかを考えていたのさ。三人ともひどく動揺している様子だったからね。狐にでも摘ままれたのかと思ったのだが……」
「ある意味ではそうかもしれません。俺達は先程中々に手強い相手と戦ってきましたから」
「ほう?」
「ランカーソン伯爵夫人です。彼女とレミアナ嬢は少し因縁があって……」
「なるほど、そういうことか」

 クルレイド様の言葉に、ギルドルア様はゆっくりと頷いた。
 彼も彼で、なんだか不思議な雰囲気を纏っている。ランカーソン伯爵夫人とは違うが、掴み所がない人だ。

「アルペリオ・ランペシー侯爵令息は、愚かな選択をしたようだね」
「え?」
「ランカーソン伯爵夫人との因縁というと、そういうことだろう? 彼女がどういう人物なのかは、僕も知っているからね」

 ギルドルア様は、そう言って笑っていた。
 その全てを見透かしたかのような笑みに、私は少し驚いてしまう。