「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 長い付き合いであるため、兄様のことはよくわかっている。それは明らかに、嘘をついている時の顔だ。
 アルペリオ兄様の気持ちが手に取るようにわかる。そのことが私の心をより抉ってきていた。

「ふふ、レミアナ嬢、あなたは本当に可愛らしい人ですね……」
「……少しいいか?」
「あら?」

 アルペリオ兄様とランカーソン伯爵夫人の関係に、私は少し参っていた。
 クルレイド様は、そんな私を庇うように前に出てきた。彼はロンダーに目配せをする。
 すると弟は、私をそっと抱き寄せた。安心させようとしてくれているのだろう。

「さっきからずっと聞いていたが、ランカーソン伯爵夫人、あなたという人は随分と趣味が悪いようだな?」
「あらあら、これは第二王子、手厳しい意見ですね? 私は王子に何かしましたか?」
「自分の胸に一度手を当てて考えてみたらどうだ?」