「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「ルノメリアさん、お待たせてしまって申し訳ありません。ちょっと、あっちが混んでい、て……」

 その人物は、夫人に笑顔を向けた後にこちらを向いて固まった。
 どうやら、ここに来るまではランカーソン伯爵夫人しか目に入っていなかったらしい。こちらはそれよりもかなり前から、気付いていたというのに。

「お帰りなさい、アルペリオ。私はあまり待っていないわよ。こちらのお嬢様方とお話していたからね……」
「え、ええ、それならよかったのですが……」
「あら? どうかしたのかしら?」

 ランカーソン伯爵夫人は、やって来たアルペリオ兄様にもからかうような表情を向けていた。
 彼女は、この状況を楽しんでいる。私の反応も、アルペリオ兄様の反応も、彼女にとってはいい娯楽なのだ。

「……レ、レミアナ、まさかこんな所で君と会うなんてな」
「アルペリオ兄様……」