「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「こ、子供……」
「彼があなたと別れたのは、魅力がなかったからに他ならない。それだけのことです。悔しかったら、もっと自分を磨いてくださいな?」

 ランカーソン伯爵夫人は、私を煽っていた。
 アルペリオ兄様を使って、弄ばれている。それを理解して、私は拳を握り締めていた。
 なんというか、色々と屈辱である。こんな人に弄ばれるなんて、どうやら私もまだまだ未熟であるらしい。

「ふふっ、まああなたをからかうのもこれくらいにしておきましょうか……そろそろ彼も帰って来る頃でしょうしね」
「彼……?」
「ええ、私の旅の同行者です。今は他の所を見に行っていて……ああ、あちらにいますね」
「あっ……」

 私を一しきり弄んでいたランカーソン伯爵夫人は、そこで一際邪悪な笑みを浮かべていた。
 そこで私は、彼女の視線が向いている方向を見てみる。するとそちらからは、見知った顔がかけてきていた。