「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 周囲を見渡しみると、ちらほら身なりがいい人達がいる。ロンダーも言っている通り、貴族が訪れているのだろう。
 その事実も、この市がすごいものであることを表している。プライドが高い貴族がこぞって訪れるということは、それだけ品質がいいものが揃っているということだ。

「おっと……」
「クルレイドさん? どうかしたんですか?」
「いや、見知った顔がいたのさ……あそこを見てみろ」

 そこでクルレイド様は、とある方向を指差した。
 その先には、一人の女性がいる。背の高い美しい女性だ。
 クルレイド様は、その女性を見て表情を歪めている。なんとうか、会いたくなかったという気持ちが伝わってくる。

「クルレイド様、彼女は一体何者なんですか?」
「……レミアナ嬢、あの女性は先程我々が話題にしていた女性です」
「まさか……」
「ええ、ランカーソン伯爵夫人です」

 クルレイド様の言葉に、私は驚いていた。