「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 ロンダーの言葉を受けて、クルレイド様は顎に手を当てて何かを考え始めた。
 その様子が、当然私は気になった。アルペリオ兄様が、どうかしたのだろうか。

「ああいえ、その名前を最近聞いたような気がして……」
「アルペリオ兄様の名前を、ですか?」
「ええ、しかしどこで聞いたのだったか……ああ」

 そこでクルレイド様は、目を見開いていた。
 その後彼は、罰が悪そうな表情になる。つまり、アルペリオ兄様の名前を何か悪いことで聞いたということなのだろう。

「クルレイド様、一体どこでアルペリオ兄様のことを聞いたのですか?」
「レミアナ嬢、あなたはランカーソン伯爵夫人……ルノメリアのことをご存知ですか?」
「ルノメリア? えっと、確か……」

 クルレイド様が出した名前は、私も聞いたことがあった。
 確かその女性は、恋多き女性だったはずだ。かつては浮き名を流したと社交界では有名人であったらしい。