「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 目の前にあるのは、私が頼んだものだ。それを食べずに帰るというのは、なんというか私の主義に反する。

「元々、味が濃いとは聞いていましたからね。想定以上ではありましたが、まあそれでも許容範囲内です」
「僕も姉上と同じ意見です。ちゃんといただきますよ」

 私とロンダーは、そんな感じで料理を食べ始めた。
 ちなみに店内に、私達以外の客はいない。つまりこの店は、市民にとってもおいしいと思える店ではないのだろう。

 そんな店がどうして成り立っているのか、それが少しわからない。クルレイド様のような根強いファンがいるのだろうか。
 とはいえ、人がいないからこそ、私達がくつろげるという面もある。そういう側面も含めて、クルレイド様はこの店を愛しているのだろうか。