「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「普段から、こういう料理を食べられているんですか?」
「ああいいや、そういう訳ではないですよ。王城では多分、レミアナ嬢が普段食べているのと同じようなものを食べています。それもおいしいと思っていますよ。ただ、時々無性にこういうものが食べたくなって」
「なるほど、それなら少し安心しました」

 私の心配は、杞憂だったようだ。
 ただ、私は少し不思議に思った。普段の料理をおいしいと思える人が、どうしてこんな濃い味も好んでいるのだろうか。
 味覚というものが、私はなんだかわからなくなっていた。

「まあ、好みではないというなら無理に食べなくても大丈夫ですよ。この後、別の店にでも行きましょう」
「いいえ、出していただいたものは、きちんと食べますよ」
「なるほど、レミアナ嬢はご立派だ」

 クルレイド様からの提案に、私はゆっくりと首を振った。