「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「一つ心配なのは、ランカーソン伯爵夫人のかつての同僚達が何かしらの事情を察したりすることですが……」
「その点についても問題はないさ。そもそもマルセア女史は強い力を持っている人だからね。彼女の庇護下にいるということ自体が強力なのだ。仮に事情を察する者がいたとしても、広めたりはしないだろう」

 ギルドルア様の言葉に、私とクルレイド様は顔を見合わせた。
 マルセアさんがすごい人だということはわかっていたつもりだ。しかしもしかしたら、彼女は想像以上の人なのかもしれない。

「ランカーソン伯爵夫人も、その辺りのことも考えていたのだろうね。彼女は中々に狡猾だ。まあそれも、子供を想ってのことだろうけどね。ああ、彼女はなんと言っていたんだい?」
「お礼を述べてくれましたよ」