「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「お言葉ですが、そういった苦労に関しては、あなた方よりも理解しています。そういった者達は、何度も見てきましたから」
「……失礼しました」

 マルセアさんの言葉に、私もクルレイド様も少し自分を恥じることになった。
 子供を育てるという難しさなんて、私達よりも彼女の方がわかっているなどということは、少し考えればわかることだ。そんなことに気付かなかった自分達が恥ずかしい。

「お気になさらず。しかし私達には、助け合える術というものがありますから、どうかご心配なく。その子のことは私が、いえ私達が立派に育ててみせます」
「そう言っていただけると、こちらとしてはありがたい限りです。それでは、その話を一度持ち帰えらせていただきます。どのようにするかは、またご連絡しますので」
「ええ、よろしくお願いします」

 マルセアさんは、強く気高い女性だった。