「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 彼女は、ランカーソン伯爵夫人からひどい裏切られた方をしたのだろう。あの時の二人の会話からして、それは間違いない。
 故にそう簡単に、許すなどということはできないのだろう。その点に関しては、私と同じだ。

「しかしそれでも、私にはあの子と過ごした大切な時間があります。その情の分だけは、彼女を助けることにしましょう。その綺麗な思い出を、私は忘れていませんから」
「マルセアさん、それはつまり……」
「ええ、あの子の子供は私が引き取ります」

 マルセアさんは、クルレイド様の目を真っ直ぐに見ていた。
 その表情には、決意が見える。既にその気持ちは、固まっているようだ。

「……頼んだこちらが言うのもなんですが、大変だと思いますよ。こちらも支援はさせていただきますが、それでも困難な道になるでしょう」