「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 彼女であっても、ランカーソン伯爵夫人が子供を産んだという事実には驚いているようだ。
 しかし彼女は、表情をすぐに戻した。その辺りは、経験値の違いといった所だろうか。

「……彼女は、妊娠していたということですか」
「ええ、そのようです」
「私達も最近知らされました。というか、ギルドルア様もランカーソン伯爵夫人本人でさえも、わかっていなかったようです」
「誰にも予想できなかった事態という訳ですか……それはなんというか、大変ですね」

 マルセアさんは、ゆっくりとそう呟いていた。
 彼女は、何かを考えるような仕草をしている。ランカーソン伯爵夫人が子供を産んだという情報から、私達が何をしに来たかを考えているのだろうか。

「大方の事情は理解することができました。要するにお二人は、その子供の処遇のために私の元に来たという訳ですか」
「ええ、そんな所です」