「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 ギルドルア様は、彼女のことを高く評価していた。実際の所、彼女はすごい人だ。以前会った後わかったことだが、彼女はこの辺りの娼館を取り仕切っている人物であるらしい。

「それで、お二人は一体どうしてこちらに来たのですか?」
「マルセアさんに少しお話したいことがあるのです」
「お二人がわざわざこちらに来てお話ですか。それだけ事情は少し見えてきますね……」

 マルセアさんは、少し苦い顔をしていた。
 経験豊富な彼女は、私とクルレイド様がここに来たというだけで、ことの重要さに気付いているのだろう。マルセアさんが関わっていることは限られているので、ランカーソン伯爵夫人に関することだということも気付いているかもしれない。

「単刀直入に言いましょう。ランカーソン伯爵夫人……ルノメリア・ランカーソンが出産しました」
「……なるほど」

 クルレイド様の言葉に、マルセアさんは目を丸めていた。