「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 若い男性の言葉に、クルレイド様は苦笑いを浮かべていた。
 ただ、二人とも険悪な雰囲気ではない。二人の間には、信頼関係があるのだろう。

「さてと、それじゃあ、まずはここだな」
「ここは、定食屋、ですか?」
「ああ、俺の行きつけの店だ」

 そんなことを話している内に、私達は町の飲食店にやって来ていた。
 そこは明らかに、王族や貴族といった者達が行くような場所ではない。市民の憩いの場といった感じだ。
 こういう所に、私は入ったことがない。そのため、少しわくわくしている。とはいえ、本当に大丈夫なのだろうか。私達のような身分の者達の来訪によって、騒ぎになったりしないといいのだが。