「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「私が関係を持っていたのは若い方ばかりです。後継ぎの問題で困っているような人はいないと思います」
「なるほど」

 ランカーソン伯爵夫人は、以前なら決して口にしなかったようなことまですらすらと述べていた。
 本当に彼女は、包み隠さずにこちらに情報を渡してくれている。彼女が子供を愛しているとわかっているつもりだが、それでもこの態度には驚いてしまう。
 以前の彼女とのギャップがあり過ぎるのだ。目の前にいる彼女が、あの人をいつも煽っていた人物と同じだとは思えない。

「……確か、あなたのご両親は既に亡くなられていると聞きました。親族もいなかったのですか?」「ええ、私は天涯孤独の身でした。唯一頼れるとしたら……」
「頼れるとしたら?」

 ランカーソン伯爵夫人は、そこで言葉を詰まらせていた。